タイルの魅力
土から生まれたタイルは、成形の容易さや焼成するという製造方法から、形状、大きさ、テクスチュア、色づけ等に様々な工夫を凝らすことが可能で耐久性にも優れており、ユーザー、建築家、デザイナー等の多様なこだわりを刺激する極めて自由度が高い装飾マテリアルとして成長した素材です。
そのことは、日本の近代建築においてタイルが建物の耐久性を高めるとともにデザイン上の見どころになっていることからも分かります。これからもタイルの表現の可能性は留まることを知らないと言えるでしょう。
タイルの特性
(種類・材質によって異なる場合もございます)
タイルの役割
和洋、内外装を問わない色・形状・質感の豊富さは、いつも新しいデザインが創出できます。
さらにタイルの施工技術の向上、汚れやカビが発生しにくい目白材もあり、内外装の様々な用途での活用がさらに広がります。
経済性
他の材料に比較し経年変化が少なく初期美観を保てメンテナンスも容易。
防汚性
汚れにくく、洗浄が容易である。※セルフクリーニング機能タイルもある。
多様性
多様な製法により、豊富なバリエーションのタイルがあり、金属・木・ガラス・
樹脂等の異素材との組み合わせにより、オリジナルデザインを楽しめる。
時を超える美しき古き良きタイル。
建築装飾としてつくられた陶磁器製タイルは、大陸から仏教がもたらされた時代から寺院などに用いられ、異国の色彩が描かれていました。そして、幕末から明治時代に向かう中で日本人が出会ったのが、西洋建築における装飾タイル。当初は憧れの異国を象徴する存在であったタイルは、明治から大正、昭和へ、日本の意匠として進化を遂げていったのです。
京都の花街・島原にある「きんせ旅館」は、推定築年数250年の建物。もともとは「揚屋」という現在の料亭のような施設で、大正後期~昭和初期の時代に旅館となり、色とりどりのタイルやステンドグラスの設えが施されました。床面や壁面には、当時多くの建築家に愛好されたブランド「泰山タイル」が散りばめられ、独特な洋風の空間を形成していたのです。
かつてダンスホールとして使われていた空間は、現在ではカフェバーに。きんせ旅館を築いた曽祖母の代から受け継ぐオーナーが、当時の豪華絢爛な備えを活かし、現代の意匠として蘇らしました。時代を超えて、そこは全国のタイル愛好家、陶芸研究者の羨望の場所。アートのような美しさは、いまもなお新しい。